7月13日、大分県由布市議会事務局を訪問し、昨年5月にスタートさせた「議会報告会」の視察をしました。
事前調査で、少なくても九州地区では初めてであり、この由布市の導入を受けて、本年4月から隣の大分市でも全国中核市中で初の取り組みがされており、今回の視察で、由布市議会の先駆的な取り組みについて、調査させて頂きました。
前述の大分市議会が「議会基本条例」を制定し、その中に市民と議会との関係について開かれた議会づくりに力点を置き、議員が積極的に市内各所に出向き議会報告会を開催することを明記したのに対して、由布市の「議会報告会」は、議長選での議長公約に挙げられたことから、スタートしたと伺いました。
私自身、従来の市議会が発行する議会報や、インターネットを活用した従来型の「議会報告」が主流となっているにもかかわらず、なぜ今、人と時間を使ったアナログ的な「議会報告会」なのか、興味があり今回の視察となりました。
そもそも由布市は、旧挾間町、庄内町、湯布院町が4年前に合併してできた人口3万7,000人の新市であり、それぞれの町が大分市のベッドタウン、農業の町、観光の町と特徴のある町による合併であったとのことでした。それぞれの町に特徴がある故に、現在も本庁舎をどこにするか未定であるなどの問題も抱えており、議会で決定したことや、市民の声を吸い上げる場としてこの「議会報告会」が生かされるのではないかとの発想であったようです。
今回の由布市議会の「議会報告会」の主な調査項目は下記の内容でした。
・「議会報告会」を開催することが決まった経緯について
・開催される時期、場所、議員数、報告内容などについて
・市民の出席者数、要望や発言の内容などについて
・議会報告会に出席した市民の評価は?、また議員の評価は?どうなのか
・市民からの意見要望などはどのようにして議会に反映させているのか
・1年間実施して出てきた課題はなにか
上記の調査項目の説明をお聞きして感じたことは、初めての試みであることからスタートに際して、議会事務局はいろいろご苦労があった点です。
先ず条例ではなく実施要綱を策定し、その要旨は旧3町でそれぞれ実施して、全議員を3班に分けたり、各担当議員の出身の町での議会報告会への参加人数の制限とか、担当が偏らないよう司会とか進行とか記録、マイク持ちなどはローテーションで決めるとか、更に当日の運営はすべて担当議員で行い、事務局はタッチしないなど議会の自主運営に徹している点など公平な運営の合意の上でのスタートであったと伺いました。
また会場も議員、市民の顔が見えるような中規模の会場を使用し、大きい会場にバラバラではなく、少し狭い部屋にぎっしり席が埋まるようにしたと伺いました。
更に昨年の2回目からは、プログラムのなかに市民とのトークを加えるなど、工夫もされていました。今後は、この「議会報告会」をもっと小さな集落での開催にしたり、観光協会や商工会などの各団体に絞って開催することなども考えているとのことでした。
そして一番気になったのが、市民と議員の皆さまの反応でしたが、大変好評とのこと。市民の参加数も平均100名であり、何より議員の皆さんが色々な分野での問題意識を持って頂けるようになり、勉強をされるようになったと伺いました。
担当の方からは、「議会本会議はあくまでシナリオが描けるなかでの、理事者、議員のパフォーマンスの場になる傾向があるが、この「議会報告会」は、市民と市議の直接対話の場であり、ある意味真剣勝負の場となるため、より市民に開かれた議会であると思う・・・・・」との話に、議会会場だけにどれだけの市民が傍聴に来るのか考えるより、議員自ら市民のなかに飛び込んでいくことが大事であると改めて感じました。
由布市議会は議員数25名の議会だから出来たと云われていましたが、松山市議会は45名、大した差はないと思います。
要は各議員のやる気の問題ではないのかと感じました。
上記の画像は、由布市議会の公明党議員、渕野けさ子議員です。
視察後、懇談させて頂き、由布市役所狭間庁舎前で写真撮影。
8月30日の衆院選、10月にはご自身の市議選を控えパワー全開でした。