越智郡上島町は、有人島8島、無人島12島の離島で構成されており、人口は約7,900人、瀬戸内海国立公園区域に属し、愛媛県の最北端に位置して海を挟んで広島県尾道市に接しています。
上島町では救急体制の充実、並びに消防力の強化を図るため、平成18年4月に日本初となるフェリー型高速救急艇「ゆうなぎ」を導入し、現在は従来からの救急艇「かみじま」の2隻で運用しています。
今回、上村俊之町長のご配慮でこのフェリー型高速救急艇「ゆうなぎ」に乗船し海上を走行して頂きました。
海上走行の感想は一言で「速い」です。
ではなぜ、フェリー型高速救急艇なのか。
上島町消防本部の宮川阪光消防長の説明によると、従来の救急活動は主要な島に配備された救急車から傷病者を救急艇で搬送していましたが、その都度傷病者を港で積替えなければなりませんでした。
町内には2次医療機関がないので、対岸の尾道市の病院までの搬送の場合、このフェリー型高速救急艇なら救急車ごと乗り込み、そして港で救急車ごと下船して病院に搬送が出来るので、積み替え時間が10分程度も短縮され傷病者への負担も大きく軽減されたとのことであります。
また町内の救急出動件数は増加を続けており昨年は500件もあり、重症傷病者の搬送割合も増加しています。離島という救急活動に不利な条件を克服するためのフェリー型高速救急艇「ゆうなぎ」配備は、町民の安全安心の救急体制の構築には不可欠であるとのことでありました。
更に、上島町は愛媛県内で唯一、岡山県倉敷市にある川崎医大付属病院からのドクターヘリの出動エリアに入っており一層の安心が図られています。
高齢化率が県内ワースト3位という現実に対して、将来への悲観的な見方はあまり感じませんでした。むしろ逆に自分たちの島は自分たちの力で守っていこうという気概を感じました。
上記写真は左から
【上村俊之上島町長と町役場職員の長期ボランティア活動を支援する「現職派遣制度」の制定に関して意見交換をする】
【フェリー型高速救急艇「ゆうなぎ」の前にて】
【フェリー型高速救急艇の接岸状況、ここから救急艇に救急車両が乗り込みます】