5月11日に滋賀県草津市を訪問し、「草津市熱中症予防に関する条例」、「草津市建築物の浸水対策に関する条例」について視察しました。
今回の視察のテーマは、近年の地球温暖化の影響で、様々な気象変動が起こっています。特に市民の生活に密着した、温暖化に依る熱中症の予防と都市型浸水被害の防止でありました。草津市のこの2つの条例は共に全国初であり、本市としても参考になるものでありました。
○「草津市熱中症予防に関する条例」について
夏場に於ける気温上昇は我々の感覚から云っても顕著であると思います。
私も今回の視察で初めて知りましたが、国内で毎年20人前後の方がこの熱中症で亡くなっているとのこと。亡くなる方の多くは、屋外で仕事をされている方々ですが、子どもから高齢者に渡る多くの国民が、熱中症で救急搬送されているとのことでした。
その被害を防ぐ方策は、先ず市民の皆さまにこの熱中症についてよく知って頂くこと。そして、素早い適切な情報発信であるとのことでした。
草津市では、独自にリアルタイムでのWBGT(湿球黒球温度)観測を行っており、一定の基準を超えた段階で「熱中症厳重警報」を発表しています。
発信方法としては、市ホームページ、地元CATV放送にテロップ、地域防災無線の活用、市内各種施設、団体、事業所に対してFAX、E-mail、携帯電話メール、そして地元ミニFM局などが利用されています。
なぜ草津市のような地方都市でこういった条例が日本で初めて制定されたのか伺ったところ、草津市は琵琶湖に隣接した都市であり、他の大都市部より、湿度が高いとのことでした。その影響で、熱中症の警報発令の目安となる、WBGTが高くなる傾向であり、その結果、市民の危機意識の高まりがあったとのことでした。
また熱中症の予防には、定期的な水分補給が大変有効とのこと。学校などの体育などの授業時には、先ずはじめる前に、そして時間の半ばと終わってから必ず水分補給をするとのことでした。
草津市では、この熱中症厳重警報の所管は、総務部の危機管理室とのことで環境部でもなく保健福祉部でもないそうです。そこに草津市の本件に対する意気込みを感じました。
○「草津市建築物の浸水対策に関する条例」について
この建築物に特化した浸水対策条例の制定は、全国でも初めてだということです。
この条例は、草津市が琵琶湖に隣接したまちであり、豪雨による琵琶湖の水位の上昇による被害を防ぐために、建物を建築する際の、市や市民、事業者などの責務を定めたものです。
建物の対象は、市が定めた浸水想定区域内での消防署や避難所となる小学校などの特定建築物、さらに特定建築物以外の民間の建物で、高さ31メートルを超える建築物で非常用エレベーターを設置する建物や地下室を設ける建築物です。
該当する建築物は建築基準法の申請を行う際に届出を行い、特定建築物の場合は電気室を想定水位より上に設置することや、地下室を設ける場合は、防水板を設けるなどの浸水対策を義務付けるものです。
視察後感じたことは、本市の中心市街地でも同じことが云えるのではないか。
数年前の新居浜市での台風豪雨で中小河川の氾濫で、市街地が浸水したために、地下室のあった建物は、地下の電気室、エレベータ、通信回路の機器が入った部屋が浸水し、完全復旧に長期間を要したことを伺いました。
本市でも同様にマンションとかオフィスビルなど建物は、空間の有効利用のために、これらの重要な機器が建物の地下部分へ集積されている場合が多く、ゲリラ豪雨浸水が起きたときの防災対策がまだまだ進んでいないのではないかと思いました。
渇水にも強いまちづくりと同時に、浸水についても強いまちづくりを目指すべきと思いました。
上記画像は市から頂いたもので、市役所に隣接した小学校に設置された「熱中症指標計測装置(WBGT-101S)」・・・・リアルタイムで観測データを市役所に無線LANを使って発信されています。