ジェネリック医薬品とは、同じ成分、同じ効き目でも値段の高い薬(先発医薬品)と安い薬(後発医薬品)があります。この後発医薬品を、一般的にジェネリック医薬品とも呼ばれています。
どのような画期的な発明の医薬品でも、その発売からおよそ6年後、または特定年月で特許が切れると、その有効成分や製法等は共有の財産になり、医薬品製造業者は自由に医薬品を製造できるようになるため、同じ成分の先発医薬品より安く患者に提供できるようになります。
先発医薬品の開発が10~15年、数百億もの投資が必要といわれるのに対して、ジェネリック医薬品の開発期間は3年ほどと短く、また研究開発費用も当然低くなります。またジェネリック医薬品は、すでに使用された先発医薬品で安全性と有効性が確かめられているので、ヒトでの安全性や有効性を証明するための臨床試験をする必要がありません
平均するとジェネリック医薬品の薬代は、先発医薬品の約半額以下と云われ、ジェネリックに切り替えることで、先ず第一番に患者さんの薬代負担が減ることが利点です。
今回視察させて頂いた呉市では、2008年7月から安価なジェネリック医薬品情報を国民健康保険の加入者約6万人を対象に通知する「ジェネリック医薬品促進通知サービス」を行っています。
呉市では医療費増大による新たな財政負担を避けるため、また患者自身の負担を減らすために、このジェネリック医薬品を使うことで薬代は平均で3分の1程度に抑えられ、更に国保を運営する自治体の負担軽減に繋がっています。
その結果、通知を出した人の約6割がジェネリック医薬品に切り替え、自治体の負担軽減額は昨年度約8,800万円とのことでした。
このような国保での自治体による通知は、呉市が国内初だそうです。
この試みのポイントは、レセプトの電子データ化でした。
レセプトとは医療機関で診察、治療を受けると医療費が発生しますが、その医療費の1部は患者が窓口で支払います。
そして残りの医療費は病院側が保険者へ請求しなければならないのです。
その請求するための資料がレセプト、つまり診療報酬明細書といわれ、薬、処置、検査などが書いてあるもので、レセプトは1ヶ月分の診療報酬を月末で締めて作成されます。
呉市では、そのレセプトを電子データ化し、それを使って患者に処方された薬を掌握し、糖尿病など医療費削減の効果が大きいとみられる患者に「通知」を郵送します。
通知を受け取った患者は、ジェネリック医薬品に切り替えることで安くなる医療費用が一目で分かり薬局でジェネリック医薬品が求めやすくなります。
そして更に、呉市ではデータベース構築の結果、医薬品額の削減だけに留まらず、これまで以上に市民の健康保持や増進に繋げていました。
例えばこんなことが可能になりました。
①複数の医療機関への重複受診者の抽出
②同じ種類の薬を併用している患者の抽出
③生活習慣病予防群のリストアップ
などが可能になり、呉市ではその抽出された患者などに対して医療訪問指導で過度の病院受診や薬の飲み合わせなどの改善を推進していました。
また呉市では、今年度から広島大学と連携し高額な治療費が掛かる糖尿病性腎症の重症化を予防する食事、運動療法プログラムも実施しています。今後の効果が期待されています。
このように様々な健康づくりへの取り組みをすることで、一層の医療費の削減に繋げたいとのことでした。
上記画像は左から
【大和ミュージアムの隣に、3年前にオープンした「てつのくじら館」】
【ジェネリック医薬品が安価な理由を図示化】