よく会話で使いますが「水に流す・・・」と云います。しかし今は汚水を流すのは下水道です。
また上水道の蛇口は見えますが、下水道はマンホールしか見えません。また流しても汚水の流れ先が分かりません。つまり見えないのが下水道です。
上水道は、雨水などを浄化して市民に供給するわけですが、下水道は、市民が使ったあとの汚れた水を海、河川に流しても環境に影響を与えないように、大きな官渠で集めて、施設で浄化して、河川に放流する訳で、同じ浄化でもコストが高いのは下水道です。(下水道処理のイメージは上記のイメージ図参照) つまり、下水道は普段の市民生活では地味な存在ですが、とても大切で意外と費用がかかります。
私は、平成16年9月議会に於いて、「・・・・下水道事業会計の透明性を確保し、下水道使用料の設定に於ける、市民に対する説明責任を果たすために、今後下水道事業に上水道事業と同じく、企業会計を導入をする考えはないのか。 」と質問しました。
その後、下水道部では企業会計導入のため必要な 「固定資産評価」の作業に入り(つまり、昭和33年以降多額の費用を投じて建設した菅路や処理場施設の現在の資産価値を適正に評価決定する作業)、そして昨年12月議会に於いて、企業会計導入に必要な条例案が可決され、いよいよ平成20年4月から四国で初めて下水道事業会計に企業会計方式が導入されます。
松山市に於ける下水道事業(汚水処理)の実情は、毎年下水道の建設に依り整備人口、普及率のアップが図られている一方で、昨年度の下水道事業債の残高、いわゆる借金は、一般会計当初予算を超える1,500億円に膨らみ、元利償還金の公債費は106億円と、歳出全体の半分余りを占めています。
そして歳入では、市民からの下水道使用料は全体の約4割しかなく、約6割の不足分は一般会計繰入金、市債などから充当しています。このように本市では、下水道財政が危機的な状況になっています。
更に、松山市の下水道事業の問題点は、このように多額の借金を背負いながら、下水道普及率は全国中核市平均より18%も低い55.8%であり、これからまだまだ新しく下水道建設の投資をしていかなければならない状況であることです。
それに依って、ますます借金がふくれあがることが危惧されています。
今回の企業会計導入によって、今後損益計算書、貸借対照表の利用により、民間企業に準じた経営分析が行われ、経営状態が明確になり、経営基盤の強化、説明責任の向上、更に細かな業務改善、職員の企業意識の高揚にも繋がると期待されています。
下水道事業の公営企業会計への移行により、現在すでに導入されている上水道事業とが同じ会計方式になり、将来的には上下水道事業が統合も可能になります。既に全国35の中核市に於いて、企業会計を16市が導入しており、内15市が上下水道事業が統合しています。